中山道御嵩宿から伏見宿(ハイキング・コース)

このコースは中山道御嵩宿を散策した後で、伏見宿を目指すコースです。距離は7㎞程で短く、半日あれば歩けるコースですが、名鉄御嵩駅までの本数が少ないので、アクセスには注意が必要です。

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御嵩宿は宿場町の面影をとどめているものの、宿場歩きの楽しさがあるほどではありません。御嵩駅からすぐの願興寺には重要文化財の仏像が23体もあるので、見学するのも良いでしょう(拝観は要予約0574‐67‐0386)。

御嵩宿から伏見宿への街道歩きには特筆すべきものはあまりありませんが、途中の顔戸城跡は城好きなら必見です。

コースの見どころ

名鉄御嵩駅を出ると、目の前はもう中山道御嵩宿です。出迎えてくれるのは御嵩町の案内看板。中山道もしっかりと描かれています。

御嵩町案内図
御嵩町案内図

御嵩宿は元々、願興寺の門前町だったのが、1602年の中山道整備の時から宿場として定められ、発展したものだとか。往時の雰囲気は感じられますが、現存する古い建物は限られています。

中山道御嵩宿
中山道御嵩宿

古い建物は商家竹屋。建築自体は江戸時代からのものですが、建てられたのは明治に入ってからだそうです。

商家竹屋
商家竹屋

駅の方に少し戻ると、街道に面して山門のある願興寺。713年に東山道がここを通ったころからの歴史がある古刹です。取材時は残念ながら重要文化財の本堂は修復工事中でした。戦国武将で出身地が近い明智光秀にも仕えたことがある、可児才蔵として知られる可児吉長は、願興寺で育ったと言われています。

願興寺
願興寺

修繕工事中の本堂の脇にある仮本堂の中を覗いてみました。

願興寺仮本堂
願興寺仮本堂

願興寺を出て、中山道を伏見宿に向かいます。御嵩宿内はところどころに常夜燈が立っています。

中山道をしばらく歩くと北側に鬼の首塚。鎌倉時代の始め、太郎という男が現在の鬼岩公園に住み着き、周辺で放火や強盗などの悪行を尽くしました。太郎はついに鬼と呼ばれ「関の太郎」と称されました。やがて後白河法皇の命で京から討伐のための武士が派遣され、ついには地頭だった纐纈源吾盛康が、女装して市にやって来た太郎を捕らえ、打ち首にしました。その首を塩漬けにして桶に入れ、当時の東山道を通って京へ運ぶ途中、急に首が重くなって動かすことができなくなり、この地に埋めたそうです。

鬼の首塚
鬼の首塚

御嶽講の神殿?を通り過ぎると、中山道は国道を離れます。旧道を歩いても特に見どころがあるわけではありませんが、距離的にもさほど変わらないので旧道を歩きましょう。

左側にすぐ可児川が流れるあたり、中山道の北側に顔戸城跡があります。中山道上からは見えないので要注意です。

顔戸城の歴史は応仁の乱の頃にさかのぼります。この地に斎藤妙椿(みょうちん)という武将がいました。ちなみに妙椿というのは一度出家した時の法名で、本名は不明だそうです。応仁の乱では西軍について活躍したとか。その斎藤妙椿が築城したのが平城である顔戸城でした。

顔戸城は全貌を見ることが難しいですが、説明版のあるあたりの堀と土塁を見るだけでもかなりのスケールだったことがわかります。可児川が流れる南側を除き、三方に堀と土塁が築かれました。

顔戸城
顔戸城

顔戸城の土塁の内側は普通に民家があります。城跡と言われなければ気が付きませんね。写真を掲載してもイメージができませんので、Google Mapをご覧ください。中央の緑の四角形が顔戸城跡です。

中山道をさらに進むと、旧道が再び国道を離れるあたりに比衣一里塚跡。この区間唯一の一里塚です。

比衣一里塚跡
比衣一里塚跡

しばらく進んで、伏見宿に入る手前、伏見警察官駐在所の裏手の山上に高倉山古墳があります。ただ私有地で入ることはできません。やがて出迎えてくれるのが伏見宿本陣跡。今では公民館が建っています。

伏見宿本陣跡
伏見宿本陣跡

伏見宿内にはさして見どころは残っていませんので、通過し、名鉄明智駅方面へと向かいます。ここでまず立ち寄るのが伏見子安観音堂。起源は不明で、何度も建て替えられているそうです。本尊の観音像は秘仏で拝観できません。ここの見どころは脇にある女郎塚です。1694年に伏見宿が設けられると、旅人相手の飯盛り女たちが宿場で働きましたが、身寄りのない者も多く、女性たちが自ら亡くなった者たちの供養のために作ったものと言われています。宿場繁栄の影の部分ですね。

伏見宿の女郎塚
伏見宿の女郎塚

女郎塚の少し南にあるのが東寺山古墳。1号墳と2号墳の二つがあります。可児川の河岸段丘上で、見晴らしの良い場所に作られたのでしょう。1号墳は前方後円墳だそうですが、後円部しか残っていません。2号墳は前方後方墳です。

東寺山古墳から名鉄明智駅はすぐです。

集合場所

名鉄御嵩駅が集合場所、出発点になります。ゴールは名鉄明智駅です。

行程とコースタイム

このコースは名鉄御嵩駅から歩き始め、見学を含めて2時間ほどです。すべて舗装された道を歩きます。

昼食

コース中、国道沿いなどに数軒飲食店があります。横浜飯店御嵩店まんまる五平餅というお店もあります。伏見宿には多鞠庵という古民家のお店があり、お勧めですが、火水木曜日は休みです。

トイレ

御嵩宿内、伏見宿内には公衆トイレがありますが、道中にはトイレはありません。

持ち物と服装

街歩きの服装で大丈夫です。靴はスニーカーを勧めます。

ハイキング適期

年中訪れることができます。

近隣の見どころ

このコースは7㎞弱と短いですから、他のコースと組み合わせることをお勧めします。明智駅からだと、明智城を通って可児駅へと向かうコース。あるいは伏見宿から大田宿へと向かうコースと組み合わせることができます。また少し離れますが、美濃金山城もお勧めです。