木ノ本駅から田上山砦跡、呉枯ノ峰と菅山寺(ハイキング・コース)

JR北陸線木ノ本駅北国街道木之本宿に位置しています。このコースは、木之本宿のすぐ上にある田上山砦跡を訪れ、そこから山歩きをして呉枯ノ峰、菅山寺と巡り、JR余呉駅へと抜けます。今は無住となった菅山寺のたたずまいは必見です。

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戦国時代の山城から、平安時代にさかのぼる寺院跡を訪ね、山歩きも楽しめるコースです。歩く距離は10㎞を若干超える程度ですが、山道が多く、また菅山寺の散策も含めると、それなりの時間を見ておく必要があります。木ノ本駅、余呉駅があるJR北陸線は本数が少ないので要注意です。

コースの見どころ

JR木ノ本駅はこのあたりの駅としては駅舎が新しく、トイレもきれいで売店もあります。

JR木ノ本駅
JR木ノ本駅

木ノ本駅から歩くとすぐに北国街道に出ます。木之本宿はかなり昔の宿場町の風情が残っています。

木之本宿
木之本宿

すぐ右側にあるのは木之本牛馬市跡。山内一豊の妻千代がへそくりで名馬を買ったのは有名な話ですが、木之本牛馬市で買ったとか。山内一豊の名は、このあたりの合戦ではあまり見かけませんが、関係はあったのですね。馬宿平四郎が残っています。

木之本宿馬宿平四郎
木之本宿馬宿平四郎

北国街道から、登山口のある意冨布良神社に曲がる角にある立派な旧家が山路酒造。山路酒造は室町時代、天文元年(1532年)創業だそうです。

山路酒造
山路酒造

「田上観音みち」とある道標から左に折れてすぐ、意冨布良神社(おおふらじんじゃ)は延喜式神名帳にも記録のある歴史ある神社です。珍しい名前ですが、意冨布良神社の由緒などはこちらを参照してください。この神社には木曽義仲が出陣の祈願に訪れ、兜を置いたという兜石があります。

意冨布良神社
意冨布良神社

田上山への登り口は神社の東(写真だと右手)にあります。

田上山への登り口
田上山への登り口

登り始めてからしばらくは林道のような道で、木之本 新四国八十八ヶ所霊場と呼ばれる、四国八十八ヶ所を表す石仏が並んでいます。

木之本 新四国八十八ヶ所霊場
木之本 新四国八十八ヶ所霊場

やがて道は山道となり、しばらく登ると田上山砦跡。田上山砦は田上山(323m)の山頂付近にある山城で、1573年には織田軍に備えて朝倉軍が布陣したと言われています。その後、1583年の賤ヶ岳の戦い(賤ヶ岳合戦)のおりには、豊臣秀吉の弟、豊臣秀長(当時は羽柴秀長)が布陣しました。賤ヶ岳周辺には、両軍が布陣した数多くの砦跡がありますが、その一つです。

田上山砦主郭
田上山砦主郭

田上山砦北郭を抜け、土橋を渡って尾根伝いに進みます。枝道もありますが、基本尾根伝いの道を選べま間違いありません。若干の急登を経て、菅山寺方向から来ている尾根の鞍部に出たら、右(南東)の道に入り、しばらく登ると呉枯ノ峰(くれこのみね)です。標高532mで、一等三角点があります。その割には景色が開けていませんが。山頂からさらに南東に進むと、古橋や木ノ本への登山道があるそうです。

呉枯ノ峰山頂
呉枯ノ峰山頂

呉枯ノ峰山頂からは来た道を下り、さらに北上して菅山寺へ向かいます。途中、尾根には堀切のように見える場所が数か所。堀切は菅山寺の真上にもありますから、戦国時代にはこのあたりの山一帯が要塞化されていたのかもしれませんね。

やがて見晴らしが開けたところが坂口への分岐。西に下ると坂口の集落、東に下ると菅山寺です。ここを中部北陸自然歩道も通っています。

坂口分岐
坂口分岐

ここから「←菅山寺」の標識に10分ほど下ると、菅山寺の寺域に入ります。菅山寺は大箕山菅山寺と言い、真言宗豊山派の寺院です。かなり前から無住になっており、建物は朽ち果てつつあります。

菅山寺の歴史は古く、奈良時代の764年、孝謙天皇の勅命を受けて、照檀上人が不動明王を安置して龍頭山大箕寺として開山しました。当初は法相宗であったそうです。平安時代の850年、余呉湖の近くで生まれた菅原道真が学問のために入山しました。その後889年に菅原道真はこの寺を中興し、大箕山菅山寺としました。その後、江戸末期になると寺は衰え、荒廃していったそうです。菅山寺に関しては菅山寺保存会のサイトが詳しいです。菅山寺登山道のマップはこちら

陰明門院・白子皇子墓というのがありますが、陰明門院は土御門天皇の皇后ですが、白子皇子は陰明門院の子という伝承があります。白子皇子は先天性白皮症のため、肌が白かったのでこう呼ばれたとか。ただし、この話は伝承の域を出ないようです。

菅山寺を後にして、坂口分岐まで登り返します。そこからはかなり急な下りが坂口集落まで続きます。途中にあるのがその名も坂中地蔵。表情は擦り切れていて歴史を感じさせます。

坂中地蔵
坂中地蔵

やがて林道に出て、すぐに北陸自動車道の下をくぐります。そこにあるのが横穴式の石室の入り口が見える大門古墳。古墳の上には後世の墓石が並べられています。調べてみると円墳のようですが、詳しい情報はわかりません。

大門古墳
大門古墳

大門古墳の下にある建物は弘善館と言い、菅山寺の管理を行っているところです。菅山寺の文化財などもここに保管されています。通常は閉まっていて見学には予約が必要です。予約は「長浜観光協会北部事務所(TEL: 0749-82-5909)」を通じて行います。拝観料は500円。

弘善館
弘善館

弘善館から下ると、赤い鳥居が。この鳥居はどうやら菅山寺にある近江天満宮のもののようです。鳥居の前の道が北国街道

近江天満宮の鳥居
近江天満宮の鳥居

北国街道を北へ向かってしばらく歩いたのち、余呉駅へと向かいます。余呉駅の手前には乎彌神社(おみじんじゃ)があります。乎彌神社は延喜式神名帳にある「乎弥神社」に比定されています。1749年にやはり延喜式に記載のある乃彌神社を合祀しています。乎彌神社の祭神はこの地を開拓したと言われる巨知人命(おみしるひとのみこと)です。

乎彌神社
乎彌神社

乎彌神社からしばらく歩けば余呉駅です。

JR余呉駅
JR余呉駅

集合場所

JR木ノ本駅が集合場所、出発点になります。ゴールはJR余呉駅です。逆コースも可能ですが、菅山寺への登りがかなりの急坂になります。

行程とコースタイム

このコースはJR木ノ本から歩き始め、見学を含めて5時間ほどです。木ノ本駅周辺と、菅山寺山麓から余呉駅までの移動を除き、すべて山道です。

昼食

道中に飲食店やコンビニはまったくありません。弁当持参が必須です。

トイレ

木ノ本駅、余呉駅以外にトイレはありません。

持ち物と服装

低山歩きの装備が必要です。靴は軽登山靴をお勧めします。

ハイキング適期

年中訪れることができますが、夏の暑い時期と降雪がある時は避けるほうが良いでしょう。

近隣の見どころ

木ノ本駅と余呉駅からは、賤ヶ岳に登れますが、健脚者以外は1日でこなすのは無理だと思います。