中山道の柏原宿の近辺には中世から戦国時代にかけての山城の跡が沢山あります。JR柏原駅から最も近いのが長比城(たけくらべじょう)跡。長比城跡がある野瀬山は標高391メートルですが、八講師城(はっこうし城)があるのは標高460メートルあたりのところ。高さがある上に、JR柏原駅からの距離も遠くなります。
このハイキング・コースはほとんどが林道歩きで、柏原駅をスタートし、高屋城跡、八講師城跡をまわり、梓河内の集落に降りてから中山道を歩いて柏原駅に戻るこのコースの総延長は15kmくらいあります。道はきつくはないですが、長距離の歩行になれない方にはお勧めできません。
八講師城のトレッキングマップは米原市のホームページからダウンロードできます。ただし、あまり道を見つけるための参考にはなりません。
コースの見どころ
このコース上には、中世の山城である高屋城跡・八講師城跡があります。高屋城は鎌倉時代、八講師城は室町時代の築城のようです。
柏原宿から南下し、名神高速道路を超えたら、道はすぐに林道になります。米原市役所が設置したトレッキングコースの案内板が設置されていました。

林道歩きは退屈ではありますが、周囲の緑はなかなかきれいで、のんびりとしたハイキングが楽しめます。


高屋城
高屋城跡は登り口が明確でなく、斜面を適当に登ることになりました。かなり大きな二重の竪堀などが確認できましたが、史跡であることを示す石柱がどこにあるかわかりませんでした。

高屋城は京極氏の一族の高屋氏の居城とも伝得られていますが、詳細は不明です。
八講師城
八講師城は林道からの入り口に案内があり、入り口はわかりやすいです。ただし、登る道は短いとはいえ、城の竪堀のようなところに沿った急な道で、あまり整備されていません。
取材の時の写真は尾根上にある八講師城の郭の一部で、このような平坦に削られた場所が、尾根上に点々と並んでいます。気づきませんでしたが、これは主郭ではなく、主郭はもう少し先だったようです。主郭には石積みがあるそうです。

八講師城があるのは八講師山と呼ばれる山ですが、八講師の語源はよくわかりません。一説によると、かつてこの辺りに八講寺あるいは八光寺という寺院があったところからきているそうです。
また八講師城の由来については柏原を拠点としていた京極家のものとする説がありますが、不明です。戦国末期に改宗された形跡があることから、浅井長政が信長に対抗するための砦としたか、あるいは関ケ原合戦の時に西軍が手を入れたのではないかと言われているそうです。
林道の周辺は森林で、傾斜が緩いですからゆっくりと歩けば森林浴にも良いでしょう。鳥の声や草花も季節によりますが楽しめます。











ルート上では野生動物に出会うこともあります。途中で出会った地元の人は「何かいましたか?」と聞かれたので、結構野生動物がいるのかもしれません。取材の日にはニホンアナグマに初めて出会いました。無論、いつでも見られるわけではありませんが。

林道終点の梓河内の集落から柏原駅に戻る間の中山道歩きも、かなり魅力的な区間になります。










集合場所
JR柏原駅が集合場所、出発点になります。
行程とコースタイム
このコースはJR柏原駅から歩き始め、見学を含めて4~5時間ほどです。林道はすべて舗装されており、歩きやすいです。高屋城跡、八講師城跡に登るところだけ山歩きとなりますが、距離は短いです。
昼食
柏原宿を離れると行程中に飲食店はまったくありません。梓河内からの中山道沿いには喫茶店があります。それ以外は、ほとんど飲み物しかありません。少し離れたところに名神高速道路の伊吹パーキングエリアがあり、まとまった食事がしたい時には利用できます。
このような状況ですから、弁当の持参がお勧めです。
トイレ
柏原駅の改札内にあります。男女共用で和式です。この他、道中は柏原宿に戻ってくるまでトイレはありません。
持ち物と服装
ハイキングの服装が必要です。舗装した道を歩くのが長いので、靴は履きなれたスニーカーかハイキングシューズを勧めます。城跡に登る時にスニーカーは滑りやすいですが、距離は短いです。
ハイキング適期
年中訪れることができます。しかし、夏の暑い時期と降雪がある時は避けるほうが良いでしょう。
3月末から4月初旬にヤマザクラを始め、いろいろな花が咲きます。ですから、この頃が最もお勧めです。
八講師城近隣の見どころ
柏原駅から長比城(たけくらべじょう)跡コースがお勧めですが、八講師城コースはかなり長いので疲れもたまり、同じ日に両コースを片付けるのは大変だと思います。柏原宿の散策か、鎌倉幕府に処刑された北畠具行の墓を訪ねるのがお勧めです。
八講師城から降りてきた梓河内(あんさかわち)の集落の奥には猪鼻城跡があります。猪鼻城跡を訪れるには、往復で最低2時間余分にかかります。