定番の犬山城下町の他に、東之宮古墳などかなりディープな犬山の町とその周辺が楽しめるコースです。
犬山七福めぐりは観光プロモーションのために行われたもので、一時休止していましたが、2023年1月に訪れたら、通年七福めぐりが実施されていました。専用の御朱印がいただけますが、1社寺200円です。犬山七福めぐり専用の御朱印帳は最寄りの参加社寺で購入できます。なお、犬山七福めぐりの御朱印は、通常の各社寺の御朱印とは別のものになっています。
御朱印に興味がなくとも七福を巡って歩くと、犬山の町周辺をかなり広範に回ることができますし、歴史にも触れることができるので、お勧めです。
妙感寺古墳
名鉄犬山駅を東側に出たら、北方向、まずは妙感寺へと向かいます。妙感寺は犬山市の別にあった寺が日蓮宗に改宗すると共に、寛永17年(1640年)現在地に移ったそうです。
本堂の裏に犬山城主成瀬家墓所があるほか、背後の丘は大型の前方後円墳、妙感寺古墳です。妙感寺古墳は墳頂部まで登ることができますが、未発掘で文化財としての説明もありません。
成田山名古屋別院大聖寺
妙感寺古墳の見学を終えたら向かうのは犬山七福めぐりに入っている成田山名古屋別院大聖寺(成田山大聖寺)です。ここはもうけた外れに大きな寺院です。
参拝を終えたら、上の写真左側の駐車場への道をたどります。その先に若水庵という茶室。ここで抹茶を頂けるはずなのですが…コロナ禍のためかお休みでした。
東之宮古墳
新生大仏の脇の道を進み、右手に山を登る道があります。これが東之宮古墳への入り口です。東之宮古墳は白山平(はくさんびら)山の頂上部をならして3世紀後半~4世紀初頭に作られた前方後方墳で、国の史跡です。東之宮古墳出土品はいずれも国の重要文化財となり、京都国立博物館に収蔵されているそうです。東之宮古墳を楽しむためのスマホ用アプリができていますから、事前にダウンロードしておくと良いでしょう。
東之宮古墳は上に登ることはできません。勝手に登ってしまえば登れますが、石棺も発掘後埋め戻されていますから、登っても見るべきものはないようです。
東之宮古墳の墳丘のある丘には東之宮社と白龍社の二つの社があります。白龍社には山の上であるにもかかわらず、池があります。これが不思議で祀られたんでしょうね。
さらに白龍社の脇から奥に続く道をたどると、その先にあったのは朽ちかけた御嶽神社でした。こちらは案内板にも載っていません。
東之宮古墳への入り口は一つですから、古墳を一周したら元来た道を下ります。その後、車道を歩いて犬山モンキーパークの北口の方へ向かいます。途中には犬山善光寺などがあります。犬山善光寺は1928年にできた新しいお寺なので、今回はパス。この辺りの道は東海自然歩道に指定されています。
寂光院
この先は、尾張パークウェイのインターチェンジなどがあり、車の通行量が多い道を渡るので要注意です。東海自然歩道をたどって犬山国際ユースホステルの近くを通り、その先が犬山七福の一つ、寂光院です。寂光院の本堂はもみじ寺の別名があるくらいですから、秋ならお勧めですが、登り階段はかなりきついです。東海自然歩道は寂光院の本堂からさらに継鹿尾山へと登っていきます。
不老滝
寂光院駐車場から木曽川沿いの道に降りる車道を歩いていくと、その先が不老滝。木曽川べりには不老公園があり、ここも紅葉と木曽川の景色がきれいです。しかし、この不老の滝。上半分は石を積んであるように見えるのですが…。
桃太郎神社
不老滝からさらに木曽川沿いに歩いていくと、有名な桃太郎神社です。浅野祥雲作のセメント作りの桃太郎や、サル、キジ、イヌなど物語の登場人物たちが出迎えてくれます。
レストラン桃太郎
時間的にはここまで歩いて来るとお昼時かもしれませんね。そんな時は昭和の雰囲気たっぷりのレストラン桃太郎(食べログで評判を見る)をどうぞ。
帰路は木曽川沿いの同じ道を犬山橋までたどります。犬山橋は以前は名鉄電車と車が一緒に渡っていた珍しい橋でしたが、今は交通量が増えたため、車用には別の橋が作られています。下の写真、川の中の岩にいるのはカワウです。ちなみにこの辺り、犬山鵜飼で有名ですが、鵜飼にはウミウを使います。
内田の渡し跡
犬山橋のたもとにあるのが内田の渡し跡の常夜灯。文化12年(1815年)にできたそうです。江戸初期までは、ここが中山道の渡し場でした。その後は尾張藩の支援で大正時代までは使われていたとか。木曽川の対岸にある岩山の上にはかつて鵜沼城がありました。
ここから名鉄犬山遊園駅を周り込むように、山手の道を進みます。この辺りは古来から内田と呼ばれる地域で、旧東山道もこの辺りを通っていたそうです。中世まではこの先訪れる瑞泉寺が勢力を持っていたとか。瑞泉寺とその塔頭が立ち並ぶ地域です。
瑞泉寺と塔頭
まず訪れるのは龍泉院。ここは瑞泉寺の塔頭で、創建は応仁2年(1468年)だとか。小さなお寺ですが古いですね。
龍泉院のすぐお隣にあるのが龍済寺(りょうさいじ)。龍の付くお寺が二つ並んでいるわけです。龍済寺も瑞泉寺の塔頭です。
龍済寺は本堂前のお庭もきれいで「独座庭」というそうです。本堂裏にも小さな禅庭(雲谷庭)がしつらえてあります。
さてその次の臨渓院は、やはり瑞泉寺の塔頭。小さいながらも犬山城主成瀬氏の菩提寺。創建は室町時代の文明14年(1482年)。織田信長が犬山城を攻めた時に焼失し、江戸時代に入ってから再建されたとか。歴史と境内の今の様子が噛み合いません。
このほかにも輝東寺や臥龍寺など、このハイキング・コースでは訪れていない周辺の寺院も瑞泉寺の塔頭です。
ではいよいよ中世以来大きな勢力を誇った瑞泉寺へ。ここは犬山七福めぐりの一つです。瑞泉寺は臨済宗妙心寺派の古刹で、室町時代の応永22年(1415年)には大伽藍ができていたそうです。大伽藍は今ではありませんが、周辺の塔頭とは明らかに違うサイズの寺院です。
瑞泉寺にはマキとクスノキの大木もあり、どちらも犬山の巨樹古木に登録されています。
瑞泉寺の山門をくぐって坂を下り、名鉄電車の踏切を渡って犬山城下へと向かいます。途中日本庭園の有楽苑があります。時間があればどうぞ。有楽苑近くにあるプチ ヴェルドーというお店は、隠れ家的フレンチレストランとして人気だそうですから、タイミングが合えばぜひどうぞ。
犬山城下
犬山城周辺では、犬山七福めぐりに含まれている針綱神社と、三光稲荷神社の二つを訪れます。
二つの神社に参拝したら、犬山城下町を南下します。個人的にはいつも魚新通りの岩井本店菓子舗へよってわらび餅を買います。犬山城下町に関してはこちらのハイキング・コースを参照してください。
城下町を抜け、犬山駅へと向かう道と交差する本町交差点までが観光客に知られている範囲。ここからさらに南下します。この先は、名古屋城へと向かう稲置街道です。一旦、通りの雰囲気はガラッと変わり、昭和の商店街になりますが、その後すぐに街道ぽい街並みになります。
先聖寺
その先には犬山祭りの山車の蘇登街車山倉。右奥にはこのハイキング・コース最後の寺院、犬山七福めぐりの一つ先聖寺があります。
先聖寺は唐風の寺院ですが、黄檗宗に属しています。石を彫り込んだ柱や、天井の龍の絵などがあります。またここの「七福めぐり」用ではない御朱印は1000円と高いですが、ご住職自らが描いてくださる絵がいただけます。ただしちょっと時間がかかりますが。
さて、先聖寺から犬山駅に戻りますが、稲置街道沿いの古い町屋に「厳骨庵」の暖簾。ここは江戸後期創業のげんこつ飴のお店で、犬山名物げんこつ飴の元祖と言われています。厳骨庵のげんこつはここまで来なくても、土産物屋でも売っているようです。
その近くにある黒い大きな家が旧堀部邸。犬山城主成瀬家に代々仕えた士族の家だそうですが、現在残るのは明治に入ってからの1883年築ですが、国の登録有形文化財。なお、堀部邸の周辺は東西の道が不思議な構造をしていますが、どうやらここはかつて犬山城下町を守る惣構えの南のはずれで、堀や土塁があったところのようです。
あとは名鉄犬山駅は戻るだけです。途中愛宕神社に木ノ下城跡がありますが、犬山城が築城されるまで使われていた城だそうです。
集合場所
名鉄犬山駅が集合場所、出発点になります。ゴールも名鉄犬山駅です。
行程とコースタイム
このコースは名鉄犬山駅から歩き始め、見学を含めて4時間ほどです。寺社境内などを除き、ほとんどが舗装された道を歩きます。
昼食
飲食店は犬山城下町。犬山市街地のいたるところ、犬山駅周辺、犬山遊園駅周辺に数多くあります。タイミング的には桃太郎神社周辺のレストラン桃太郎がちょうど良いかと思います。
トイレ
大きな寺社をはじめ、コースのところどころにトイレがあります。
持ち物と服装
街歩きの服装で大丈夫です。靴はスニーカーを勧めます。
ハイキング適期
年中訪れることができますが、夏の暑い時期は避けるほうが良いでしょう。
近隣の見どころ
時間に余裕があれば犬山城を加えることができます。