京都ウォーキング 醍醐寺

醍醐寺は、京都の伏見区にある世界遺産に指定された寺院です。真言宗醍醐派の総本山となっています。豊臣秀吉がおこなった「醍醐の花見」で有名な寺院です。国宝や重要文化財を含み、15万点もの寺宝を所蔵している、驚くべき寺院です。京都の中心街からは少し離れていますので、すごい寺院であるにもかかわらず、訪問者は限られています。(醍醐寺の公式ページはこちら

京都市などが立てた醍醐寺の案内は以下です。

醍醐寺は伽藍が上と西麓の平地とに分かれており、 山上伽藍は貞観16年 (874)に、平地伽藍は延喜4年 (904) に整備が始められたと伝えます。そのたびたび火災にあい、16世紀末から17世紀初頭にかけて現在みられる姿に復興されました。山上伽藍の薬師堂は、保安5年(1124)に再建されたもので、平安時代初期の礼堂をもたない仏堂の規模・ 様式を伝えています。 また鎖守社清宮拝殿は、永享6年(1434)に再建された懸造の建物で、意匠的には住宅風に仕上げられています。いっぽう平地伽藍のうち、天暦5年(951)に建立された五重塔は、年代が明らかな建物としては京都における現存最古のもので、その外観は雄大で安定感があり、また初層内部に両界マンダラを描く点に密教寺院としての特色がみられます。 金堂は、慶長5年(1600) に紀州満願寺の金堂を移築したもので、平安時代末期の仏堂の様式を残しています。三宝院の表書院は、豊臣秀吉による慶長3年の花見に際して増改築されたもので、寝殿造りの様式が取り入れられており、またこの横に広がる庭園も秀吉が直接指示して造らせた豪華なもので、池泉回遊式と枯山水が折衷されています。

現地の案内板

また、今回は取材の都合で訪れることができませんでしたが、山の上には醍醐寺発祥となった上醍醐があり、醍醐水が今でも湧き出ています。下醍醐の醍醐寺を見学するだけでも時間がかかりますし、上醍醐までは下醍醐から片道約1時間。上醍醐にも国宝や重要文化財の建築物がありますから、下醍醐・上醍醐両方をじっくり見ようと思うと、1日の行程になってしまいます。(地図をご覧ください

このガイドは、取材の都合で下醍醐のみを取り上げていますが、時間があれば上醍醐にも出かけたいと思っています。

醍醐寺の最寄り駅は、地下鉄東西線の醍醐駅です。醍醐駅からは東にまっすぐのびる歩道を通るのが近道です。

まず迎えてくれるのが醍醐寺総門。奈良街道に面しています。

醍醐寺総門
醍醐寺総門

総門をくぐった左側に受付(拝観券売り場)があります。醍醐寺の拝観券は、伽藍エリア、霊宝館エリア、三宝院エリアの三つに分かれていますが、すべてを周ることをお勧めします。

三宝院

まず受付の脇から入るのが三宝院です。三宝院は1115年の創建で、醍醐寺座主が居住する本坊となっていました。現在の施設は1598年の豊臣秀吉による醍醐の花見を契機に整備されました。庭園は秀吉が基本設計をしたそうで特別史跡です。

三宝院の建物はほとんどが重要文化財。表書院は国宝です。重要文化財の本堂は通常非公開ですが、ここにある弥勒菩薩座像(これも重要文化財)は鎌倉時代、快慶の作です。

三宝院
三宝院

美しい庭園。三宝院は建物内部の撮影ができません。

三宝院の庭園
三宝院の庭園

庭園の池の対岸にある四角い石(藤戸石)とその両側の石は、極楽浄土の阿弥陀三尊を表しているそうです。藤戸石はその経歴から「天下人が所有する石」と呼ばれているそうです。元は源平合戦のおりに現在の倉敷市藤戸町にあったものを、足利義満が現在の金閣寺に取り寄せ、足利義政の時に銀閣寺に移され、12代足利義晴の時に細川高国に譲られ、織田信長が15代足利義昭の二条御所に移し、豊臣秀吉がまず聚楽第に、その後三宝院へと持ってきたそうです。

そして、築山の上にある小さな社は豊臣秀吉を祀るものだとか。後に徳川の世になってしまったため、三宝院ゆかりの秀吉を大々的に表に出すことをはばかり、ひっそりと小さな社に祀ったそうです。

三宝院の庭園
三宝院の庭園

三宝院の奥の方にある建物の、賓客が座る位置から見ると、このように藤戸石が直線状に見られる仕組みになっています。

藤戸石
藤戸石

三宝院の唐門は、1599年のもので、国宝。黒漆で塗られ、菊と五七の桐の紋が両側に付けられています。

醍醐寺三宝院唐門
醍醐寺三宝院唐門

醍醐寺霊宝館

霊宝館は醍醐寺が所有する10万点以上の文化財(内、国宝や重要文化財が7万5千点!)の保存と展示を行う施設です。国宝の薬師三尊像、重要文化財の五大明王像をはじめ、多くの文化財が公開されています。内部は撮影禁止です。

醍醐寺霊宝館
醍醐寺霊宝館

醍醐寺伽藍

醍醐寺の伽藍(下伽藍)の入り口は仁王門です。

醍醐寺仁王門
醍醐寺仁王門

平安末期の様式を残す優美な醍醐寺金堂は、豊臣秀吉が紀州の湯浅から移築させたもの。国宝です。

醍醐寺金堂
醍醐寺金堂

そして、現存する木造建築の中では最も古いと言われる五重塔。無骨ですが趣があります。これも国宝。951年の完成です。

醍醐寺五重塔
醍醐寺五重塔

清瀧宮本殿は、ほとんどの人が注意を払わずに通過していますが、重要文化財です。

醍醐寺清瀧宮本殿
醍醐寺清瀧宮本殿

この日の取材はここで時間切れとなりました。上醍醐はまたいずれ出直して取材したいと思います。

Information of Daigoji Temple in English here Daigoji temple hike in English here

ランチ

醍醐寺には境内にも複数のレストランがあります。醐山料理雨月茶屋(和食)、阿闍梨寮「寿庵」(和食・和カフェ)、フレンチカフェ ル・クロ スゥ ル スリジェ ~桜の樹の下で~の三軒です。取材時には雨月茶屋は閉まっていました。寿庵は伽藍エリアの内部にありますから、入場料を払わないと入れません。

取材の日は総門を出た奈良街道沿いにある、甘味・手打ち蕎麦 しも村を利用しました。ニシン蕎麦がお勧めです。

近隣の見どころ

醍醐寺は京都の他の社寺とは離れたところにあります。また、多くの見どころや文化財があり、特に上醍醐まで足を延ばすと丸一日必要になると思います。

下醍醐だけの見学にとどめて、他の見どころと組み合わせるのであれば、最寄りの地下鉄東西線沿線にある南禅寺からのコース(蹴上駅)や、知恩院からのコース(東山駅)、二条城(二条城前駅)などがお勧めです。

Daigoji Temple Hike in English


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