元円興寺から青墓トレイル(ハイキング・コース)

青墓トレイルは、岐阜県大垣市ほくぶの金生山近くの山を巡るトレイルです。ただし、入り口となっている青少年憩いの森遊歩道から外れると、決まったルートがあるわけではなく、道中に道標もほぼありません。道も場所によっては踏み跡程度になっていますから、地形図を確認して歩くことが重要です。

途中元円興寺の遺跡には、源朝長の墓地があります。金生山から続く石灰石の砕石場を過ぎると、現在の円興寺がある大谷川をぐるっと周る尾根道になります。

最寄りの交通機関は大垣駅北口から出るバスで、昼飯バス停下車ですが、午後は便があまりないので要注意です。取材の時には時間的に中途半端になり、仕方なくJR垂井駅まで東海自然歩道中山道を歩きました。

このコースのマップはこちら

コースの見どころ

JR大垣駅では北口のバス停を利用します。名阪近鉄バスの赤坂線で、消防赤坂分署行という何ともローカルな路線です。朝は1時間に1本程度、日中はほとんどありませんので要注意です。

下車するのは昼飯。昼飯大塚という巨大古墳はすぐですから、ちょっと立ち寄っても良いでしょう。

昼飯大塚古墳
昼飯大塚古墳

まずは、青少年憩いの森遊歩道友朝長ルートの表参道口まで車道を歩いて向かいます。表参道口にはトイレと駐車場が整備されています。

青少年憩いの森遊歩道友朝長ルートの表参道口
青少年憩いの森遊歩道友朝長ルートの表参道口

この辺り一帯にはかつて、円興寺という寺院がありました。円興寺は今は麓の谷あいに移っているので、この辺りは元円興寺と呼ばれています。

樹林の中を緩く登ってまず訪ねるのは源朝長の墓。平治の乱に敗れて逃げ延びる途中、青墓で命を絶った時には16歳だったとか。一説によるとここに葬られているのは朝長の胴で、首は静岡県袋井市に埋葬されているとか。平家が滅んだ後に、源頼朝は兄朝長の弔いのため、この地を訪れているとか。

源朝長の墓
源朝長の墓

源朝長の墓の近くにあるのが大炊家の墓地。大炊家は青墓宿の長で、当時源氏に従っていました。源義朝一行は大炊氏を頼って青墓まで逃げ延び、朝長はここで亡くなりました。義朝はこの後、知多半島の野間へ船で向かい、野間大坊の近くで暗殺されました。

大炊家の墓地
大炊家の墓地

元円興寺にはかつて七堂伽藍があったそうですが、今は建物は一部の礎石などを除いて何も残っていません。核心部であった金堂跡とされるのがこの辺り。周囲には若干の石垣と、土塁が見られます。近くにある塔跡とされる場所には、礎石も残っていますが、金堂跡には礎石も見当たりません。

円興寺金堂跡
円興寺金堂跡

次に向かうのは青少年憩いの森遊歩道の展望台。展望台とは言え、木が多くて見通せる範囲はさほど広くありません。

青少年憩いの森遊歩道の展望台
青少年憩いの森遊歩道の展望台

Yamapなどでルートの記録を見ると、展望台からさらに登って行く道があるようなので、行ってみましたが、わからず。仕方なく引き返して展望台の登り口から東へと向かうルートに入りました。ここは非常に整備された道が続いており、かつては何かに利用されていたのでしょうか。

青墓トレイルの道
青墓トレイルの道

しばらく進むと、金生山の採石場の縁に出ます。そこにあったのが山の神。こんなに立派に祀られた山の神は初めて見ました。

山の神
山の神

道は林道となり、しばらく植林地を進んだ後で右側の沢に入ります。踏み跡をたどりますが、最上流部に近づくに従い、ふみ跡がわからなくなり適当に登って尾根へ。尾根を地図を見ながら進むと三角点のあるピークに出て、そこにあったのが神明神社。尾根上には他にも社がありますし、信仰の山だったのでしょうか。

神明神社
神明神社

ここからはしばらく尾根歩きが続きます。分かれ道が多いので地図を確認しながら歩く必要があります。広葉樹の樹林帯が多く、なかなか気持ちが良いです。やがて、谷を登ってくる東海自然歩道と交差。ここから下れば円興寺に出られます。さらに尾根を進むと、愛宕神社。ここまでが尾根道で、ここから円興寺に向けて下りとなります。

下っていくと、やがて西美濃三十三霊場の一つ、円興寺。ここには国の重要文化財である木造聖観音立像がありますが、非公開です。円興寺は元々は最澄が開いたと伝えられており、聖観音立像も最澄が自ら彫ったとの言い伝えがあります。ただし、開山の場所は現在の位置ではなく、元円興寺と呼ばれている山中です。

円興寺
円興寺

この日は、大飯バス停に戻ってバスで大垣に出る予定でしたが、日中バスの本数が少なく、次のバスまで1時間半もあります。しかたなく、JR垂井駅まで歩くことにしました。タイミングが合えば、大飯バス停が一番近い公共の交通機関です。

美濃国分寺跡までしばらくは東海自然歩道を歩きます。しばらく歩くと元圓願寺跡の石碑。圓願寺は円興寺の塔頭でした。美濃赤坂宿と垂井宿の間の中山道沿いに葭竹庵という場所があり、源義経が立ち寄ったとされていますが、この元圓願寺跡が本来の場所で、中山道沿いにあるのは移設されたもののようです。つまり、源義経が立ち寄ったのは、今は石碑しかないこの場所であった、ということになります。

元圓願寺跡の石碑
元圓願寺跡の石碑

美濃国分寺跡からは中山道に向かい、中山道をたどって垂井に出ました。美濃国分寺の様子はこちらを、垂井までの中山道の様子はこちらを参照してください。

集合場所

JR大垣駅北口が集合場所で、ここからバスに乗ります。

行程とコースタイム

このコースは昼飯バス停から歩き始めて、バス停に戻るまで5時間ほどです。

昼食

道中に飲食店やコンビニはまったくありません。

トイレ

青少年憩いの森遊歩道の登り口にあります。山の中にはトイレはまったくありません。

持ち物と服装

軽登山の服装が必要です。靴はハイキング・シューズか軽登山靴をお勧めします。

ハイキング適期

年中訪れることができますが、夏の暑い時期と降雪がある時は避けるほうが良いでしょう。

近隣の見どころ

昼飯大塚古墳美濃国分寺跡に立ち寄ると良いでしょう。余裕があれば中山道の美濃赤坂宿の見学も可能です。