タグ: 蓮華寺

蓮華寺は滋賀県米原市、中山道番場宿にある古刹です。蓮華寺は聖徳太子が開いたという伝承のある古刹。1276年に落雷で焼失したものを、1284年に当時の鎌刃城主土肥元頼が一向上人を呼んで再建し、八葉山蓮華寺となったそうです。

この時に鋳造された釣鐘は国の重要文化財になっています。

蓮華寺の鐘楼
蓮華寺の鐘楼

再建後は歴代天皇の庇護も厚く、花園天皇の時に菊の紋を寺紋として使用することを許されたとか。入り口にある勅使門には菊の紋が付いています。

蓮華寺勅使門
蓮華寺勅使門

蓮華寺を再建した土肥元頼の墓と伝えられる宝篋印塔。

土肥元頼墓
土肥元頼墓

蓮華寺の本尊は釈迦如来立像と阿弥陀如来立像の二体。どちらも米原市の指定文化財です。

蓮華寺の本尊二体
蓮華寺の本尊二体

南北朝時代には、元弘の乱の折に足利尊氏の寝返りによって京を追われた六波羅探題北方の北条仲時がここで行く手を阻まれ、蓮華寺本堂前で一族郎党432名が自害しました。北条仲時の墓は本堂右側の山中にあります。

北条仲時の墓
北条仲時の墓

当時の住職が自害した人たちの名を記した「陸波羅南北過去帳」も国の重要文化財です。

蓮華寺を再建した一向上人は蓮華寺で亡くなっており、その時に荼毘に付された場所に植えられたのが一向杉。杉の大木です。

蓮華寺の一向杉
蓮華寺の一向杉

蓮華寺にはもう一本の大木、コウヤマキが庭園内にあります。紀伊半島や四国に多いコウヤマキで、こんなところに大木があるのは珍しいです。ちなみに蓮華寺の庭園は春のミツバツツジで有名です。

蓮華寺庭園とコウヤマキ
蓮華寺庭園とコウヤマキ(右)

一向上人の供養塔は、北条仲時の墓の奥にあります。

一向上人供養塔
一向上人供養塔

供養塔に至る道の周辺には、他にも五輪塔や墓石がごろごろと転がっていて、歴史を感じさせます。

蓮華寺の墓地
蓮華寺の墓地

蓮華寺に関連してもう一つ有名なのが番場の忠太郎。1930年に発表された長谷川伸の戯曲『瞼の母』(まぶたのはは)の登場人物です。長谷川伸は蓮華寺で自害した北条仲時一族の中に、子どもや若者が多くいたことに心を痛め、瞼の母を書いたとか。蓮華寺本堂の後ろには長谷川伸が寄進した忠太郎地蔵が立っています。ちなみに、架空の人物ですが番場忠太郎の供養塔まであります。

忠太郎地蔵尊
忠太郎地蔵尊

現在の蓮華寺は無住で、月に一度他の寺院の住職を兼務している方が来られるそうです。通常は今や12軒しかないという檀家の人たちが当番制で詰めているそうです。