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関市 円空と善光寺を尋ねる歴史ウォーク(ハイキング・コース)

    岐阜県関市の中心部に近い場所を歩くハイキング・コースですが、よくある刃物関係の場所は訪れません。小瀬鵜飼で有名な小瀬から歩き始め、壬申の乱で活躍したとされるムゲツ氏の氏寺であったと考えられる弥勒寺跡を訪ねます。ここは円空上人入定の地としても有名です。長良川対岸の遊歩道を歩いてまるまる山と山王山に登ります。その後は安桜山、関城跡を経て関善光寺を訪れます。

    このコースのマップはこちら


    コースの見どころ

    小瀬バス停でバスを降り、長良川に向かってしばらく田舎道を歩いていきます。やがて見えてくる鉄橋は鮎之瀬橋。手前に見える寺院は曹洞宗の松尾山永昌寺です。大きなイチョウがありますから、秋になったらきれいでしょうね。

    曹洞宗の松尾山永昌寺
    曹洞宗の松尾山永昌寺

    鮎之瀬橋のたもとには小瀬鵜飼の船のたまりが。

    橋を渡って左に折れ、山の中に入る道をたどると関市円空館。このあたりは弥勒寺西遺跡と呼ばれ、古代の祭祀遺跡が見つかったところでもあります。円空館にはこの辺りに残された円空仏が展示してありますが、館内は撮影禁止。小さなミュージアムですから、30分もあれば見学できます。

    関市円空館
    関市円空館

    円空館の右側斜面にある歩道をたどって竹林を抜け、円空のお墓へ。微妙にカーブした墓石が目印です。この辺りやぶ蚊が特に多いので要注意です。

    円空のお墓
    円空のお墓

    円空の墓所からすぐのところ、少し開けたあたりが弥勒寺跡の遺跡です。弥勒寺跡遺跡に関しては、関市のホームページに以下のような説明があります。弥勒寺は壬申の乱後白鳳時代に美濃の地方豪族の、ムゲツ氏が建立したもののようです。金堂や塔の後が発掘されています。

    ムゲツ氏は、軍事的・祭祀的な役割を担ってヤマト王権と深く結びついた美濃の伝統的な地方豪族で、記紀などの史料には「牟義都」「牟下津」などさまざまな表記が見られます。672(天武1)年に起きた壬申の乱での「身毛君広(むげつきみひろ=大海人皇子の舎人)」の活躍が、武義郡を治める郡領としての地位を確実にしました。

    弥勒寺遺跡群は、祭祀遺跡である弥勒寺西遺跡を含めて、古墳時代終末期から律令制下(奈良時代~平安時代)の寺院・郡衙・祭祀跡が一体で残り、寺院造営を契機とする在地支配の変容や、律令制下の地方官衙の営みの全てを考古学的に知ることができる、極めて稀な遺跡として注目されています。

    https://www.city.seki.lg.jp/0000001514.html

    ちなみに近くにある池尻大塚古墳もムゲツ氏のものと言われています。時間があれば見学すると良いでしょう。写真はまだ整備中の時のものです。

    池尻大塚古墳
    池尻大塚古墳

    弥勒寺跡から東、駐車場があるあたりはかつて武義郡衙(武儀郡の役所)があったところのようで、弥勒寺東遺跡と呼ばれています。正倉院の跡などが発掘されています。

    弥勒寺東遺跡
    弥勒寺東遺跡

    遺跡のすぐそばにある寺院は現在の弥勒寺で、江戸時代に円空が再興したものです。

    現在の弥勒寺
    現在の弥勒寺

    円空入定塚は、円空が最期を迎えた場所で、鮎之瀬橋へ戻る途中にあります。「藤の花が咲いている間は生きている」と言い残して穴に入ったそうで、今でも藤棚が作ってあります。

    円空入定塚
    円空入定塚

    鮎之瀬橋を渡ったら、すぐ左手の河岸に、遊歩道があります。岩場にはトンネルが穿たれていて、歩きやすい道です。

    遊歩道の終点の少し手前から、山に登っていく道があります。このハイキング道がまるまる山へ続く登山道です。途中には長良川の屈曲部が良く見える展望所があります。正面中央は先ほどいた遺跡です。ここから見ると、古代どのような場所に官衙が作られたのかわかりますね。

    長良川の屈曲部が良く見える展望所
    長良川の屈曲部が良く見える展望所

    まるまる山は135m。となりの山王山は153m。若干の急登はありますが、低山ですから簡単に登れます。周囲にはミツバツツジが多いですから、春先に来れば楽しめることでしょう。この辺りはチャートの岩山で、シダの仲間ヒトツバが目立ちます。

    下っていく先にあるのが江戸時代後期に作られた88体石仏。四国八十八ヶ所霊場を表しているものです。同様の石仏は各地にありますね。

    88体石仏
    88体石仏

    石仏のすぐ下は国道156号線です。時間的にこの辺りでランチになると思いますが、取材の日は中華料理店の金福縁にしました。中国系の方がやっているお店で、価格はリーゾナブル。味は価格なり…量は価格以上!だと思います。

    ここからはしばらく町中を歩きます。安桜山を通るわかくさトンネルの右側に、安桜山遊歩道の入り口があります。入っていくと、遊歩道という印象とは裏腹にうっそうとした森。安桜山の標高は152mですが、北側はあまり入る人もいないのか、鬱蒼としています。南側は開けているようです。

    安桜山遊歩道
    安桜山遊歩道

    安桜山の山頂付近は関城跡になっています。関城は1565年に織田信長が東美濃を攻めた時に、斎藤氏配下の長井隼人が本陣を置いたとされています。竪堀などが残っているそうですが、わかりませんでした。山頂近くには、展望台があり、美濃尾張いったいの眺望が楽しめます。

    安桜山からは関善光寺を目指して下ります。関善光寺はラグビーワールドカップで活躍した五郎丸選手の手のポーズに似た仏像で有名になったところ。また釣り鐘は、1540年に明で作られたものだとか。

    関善光寺からは長良川鉄道関駅(関シティターミナル)はすぐです。

    集合場所

    岐阜駅に近い、岐阜バスターミナルが集合場所、出発点になります。小瀬まではバスで移動します。ゴールは長良川鉄道関駅・関バスターミナルです。

    行程とコースタイム

    このコースは岐阜バス小瀬バス停から歩き始め、見学を含めて5時間ほどです。途中2ヶ所で軽登山を行います。

    昼食

    彦根駅の東側には飲食店がほとんどありません。早めに出発して、駅の東側で遅めのランチを取ることがお勧めです。タイミング的には金福縁が良いと思いますが、しばらく歩けばかつ時関店をはじめ、多くの飲食店があります。

    トイレ

    ゴール直前の関善光寺まで公衆トイレはありません。円空館や飲食店のトイレを使用ください。

    持ち物と服装

    軽登山の服装をお勧めします。靴はハイキングシューズが一番です。

    ハイキング適期

    年中訪れることができますが、暑い時期はコースを通してやぶ蚊(ヒトスジシマカ)が多く発生します。秋後半から春をお勧めします。山の上にはミツバツツジが多いですから、4月ころが適期でしょう。

    近隣の見どころ

    夏であれば前泊して小瀬鵜飼を見物できます。時間があれば、関の刃物関係の施設も訪問可能です。秋には関の刃物祭りも開催されます。

    関刃物祭り
    関刃物祭り