焼き物の町 常滑(ウォーキング・コース)

中部国際空港(セントレア)の手前にある街が常滑市。セントレアができて名古屋方面からの列車の数が増加し、便利になりました。常滑の核心部分は、かつて窯業が盛んだった丘陵地帯で、今は窯跡や、陶芸の店などがたくさんあります。飲食店も多く、楽しめる場所となっています。

常滑市の「やきもの散歩道」があり、AコースとBコースが設定されています(常滑市観光協会のやきもの散歩道紹介サイト)。このウォーキング・コースではやきもの散歩道AコースとBコースのかなりの部分をたどりますが、それ以外の道も歩きます。


距離的には6km強ですが、ショップを見たり、ミュージアムを見たりしていると、意外と時間がかかりますし、足も疲れます。

またこのコース中には知多四国八十八ヶ所霊場のお寺を三ヶ所含みますので、御朱印集めに興味のある方にも向いています。

コースの見どころ

やきもの散歩道を歩く人は、通常名鉄常滑駅からとこなめ招き猫通りを通り、常滑市陶磁器会館へと向かいます。常滑市陶磁器会館には観光客向けの駐車場もあります。

この日は、やきもの散歩道を参考にしつつも、独自のルートを取りましたので、とこなめ招き猫通りへは行かず、常滑街道を右折、南へ向かい、その先の交差点から山手に入ります。上り始めてすぐにあるのがだんご茶屋。お昼には間があるのでみたらし団子をいただきました。

だんご茶屋
だんご茶屋

だんご茶屋からチョウゴロウの坂と呼ばれる細い坂道を通り、廻船問屋 瀧田家へ向かいます。ここは江戸時代に知多半島が船貿易で利益を出していたころのお屋敷。母屋のほか、離れや土蔵も見学できます。

廻船問屋 瀧田家
廻船問屋 瀧田家

廻船問屋 瀧田家の前はでんでん坂と呼ばれる坂道。瀧田家の方のお話だと、坂の下までかつては海が来ていたそうで、その向こうに見える家並みやビルはすべて埋立地だとか。ちなみにでんでん坂は坂の下から眺めるほうが良いそうです。

でんでん坂
でんでん坂

でんでん坂と小道を挟んで反対側、上にあるのが有名な土管坂。写真スポットですが、意外に短く、またこのくらいの場所は常滑にはいくらでもありました。

土管坂
土管坂

土管坂からは、やきもの散歩道Aコースをたどり、登窯(陶榮窯)へ。陶榮窯は国指定の重要有形民俗文化財です。常滑の登窯は1834年に鯉江方寿の父である鯉江方救が導入したと言われていますが、陶榮窯は明治20年ころのものです。

登窯(陶榮窯)
登窯(陶榮窯)

陶榮窯からはやきもの散歩道を離れ、南へと坂を下ります。交通量の多い道を右に曲がると神明社。ここの狛犬は陶製です。

神明社の陶製狛犬
神明社の陶製狛犬

その先へ進むと、カレーのスパイスの香りが漂ってきます。交差点南側にあるのが南インド料理のお店、ベジとスパイス om om om食べログで評判を見る)。通称、オムオムオムと呼べれいる評判のお店です。スパイスの香り豊かなカレーはとてもおいしいです。ランチプレートは、いわゆるミールスと呼ばれるセットが数種類のみ。

ベジとスパイス om om om
ベジとスパイス om om om

オムオムオムからは、交通量の少ない裏道を通って、白龍神社のある角で常滑街道に出ます。白龍神社には水琴窟があります。常滑産の甕が江戸時代に広く水琴窟に使われたのだとか。ただここの水琴窟はあまり音は良くありませんでした。

白龍神社
白龍神社

白龍神社のすぐ近くにあるのが、昔ながらの街道沿いの和菓子屋さん、井桁屋食べログで評判を見る)。素朴で手ごろな値段の和菓子が買えるようで、地元の人がひっきりなしに訪れていました。観光客が通るルートからは完全に外れていますから、観光客には知られていないと思います。井桁屋のホームページはこちら

井桁屋
井桁屋

すぐ近くにあるのが知多四国八十八ヶ所霊場六十四番札所の宝全寺。ちょっとさびれた感じですが、近所の人がお参りされていました。

宝全寺
宝全寺

宝全寺のすぐ前にあるのが、やはり旧街道の趣を残す寿園茶店総本店。

寿園茶店総本店
寿園茶店総本店

常滑街道沿いにさらに南下すると、川を渡り、時計台のある広場に。この時計台はからくり時計だそうです。どのようなからくりかはYouTubeで見ることができます。

からくり時計広場
からくり時計広場

からくり時計広場からは常滑街道を離れ、INAXライブミュージアムへ向かう、細い道を東に歩きます。この通りは、「陶器彫刻のある散歩道」と呼ばれているようで、道の両側に、陶器で作られた作品が点々と並ぶ、面白い道です。こちらのサイトに陶器彫刻の写真が多く掲載されています。

やきものの小道
陶器彫刻のある散歩道

しばらく行くと、大きな道に出ます。道の反対側にあるボンベルルマンセイというお店は、パンやケーキが人気らしいですが、お赤飯も売っています。そこからINAXライブミュージアムはすぐ。

INAXライブミュージアム
INAXライブミュージアム

INAXライブミュージアムは複数の展示館を持つ、大規模なミュージアムです。土管などの産業用陶器を焼いていた窯や道具の展示、世界のタイルの博物館、また陶芸体験のできる施設もあります。INAXライブミュージアムの詳細はこちらのホームページを。訪れる価値ありです。ピッツェリア ラ・フォルナーチェというレストランもありますので、ランチもできます。

世界のタイル博物館
世界のタイル博物館

INAXライブミュージアムを出て少し北上すると大善院。大善院は知多四国八十八ヶ所霊場六十三番札所。

大善院
大善院

大善院には愛知県指定天然記念物の大イブキがあります。小さく写っているのがご住職。

大善院のイブキ
大善院のイブキ

大善院からしばらく歩くと、とこなめ陶の森資料館。あたり一帯がとこなめ陶の森と呼ばれているようで、資料館のほかに、とこなめ陶の森陶芸研究所や、研修工房があります。森の中にはとこなめ陶の森小径も作られており、自然の中で陶芸作品を見ることもできます。取材の日は時間の都合で、とこなめ陶の森資料館だけを見学しました。

とこなめ陶の森資料館
とこなめ陶の森資料館

すぐ近くにある常滑市立常滑東小学校の壁にも、常滑焼の土管が…。落ちてこないか心配です。

常滑市立常滑東小学校
常滑市立常滑東小学校

そしてその近くの瀬木共同墓地。ここはとこなめ陶の森資料館の方に教えていただきました。墓碑に陶管が使われています。

瀬木共同墓地
瀬木共同墓地

瀬木共同墓地には海岸に流れ着いた大きなウミガメを葬って祀った墓があるそうです。取材の時には知らず、何か古い墓があるなあ、と思っただけでした。次回訪れたら撮影してこなくては。

そしてウミガメの墓よりも重要なのはこちら、鯉江方寿翁陶製墓標です。 鯉江方寿(こいえほうじゅ)は父の鯉江方救と共に真焼窯を考案しました。さらに1874年には常滑で陶管の国産化に成功し、産業としての常滑焼の基礎を築いたとされています。鯉江方寿に関してはググって調べてください。

鯉江方寿翁陶製墓標
鯉江方寿翁陶製墓標

さてこのあたりは、やきもの散歩道Bコース。やがて知多四国八十八ヶ所霊場六十五番札所の相持院です。

相持院
相持院

相持院から やきもの散歩道Bコースをたどる道のあたりは、なんでも映画「20世紀少年」のロケ地になったとか。

映画「20世紀少年」のロケ地
映画「20世紀少年」のロケ地

一木橋という大正時代に作られた橋は、山の上に橋を作ってから、その下を掘って切通しにしたとか。下は車道です。

一木橋
一木橋

橋を渡ると、煙突のある風景が広がります。常滑の核心部。

山善製陶の煙突
山善製陶の煙突

暮布土屋通り

古い煙突や窯の跡が点在するあたりにあるのが、暮布土屋通り。細い路地の周りに商店が並んでいます。

風舎は常滑では有名なパン屋さんのよう。焼きたてを買ってみましたが、どれもおいしかったです。瓶入りの常滑牛乳も売っています。

パン工房 風舎 常滑店
パン工房 風舎 常滑店

同じく暮布土屋通りにあるお店。おしゃれです。

studio35
studio35

角山陶苑は陶芸の体験ができます。雰囲気が暖かでよさそう。

角山陶苑
角山陶苑

近くにある morrina は、これまたおしゃれでセレクトショップといったところ。陶器も作家さんが作ったものを置いています。残念ながら店内は撮影禁止です。

morrina
morrina

土管坂に戻ってきました。

常滑の締めはとこにゃん。あとは常滑駅へ向かいます。

とこにゃん
とこにゃん

集合場所

名鉄常滑駅が集合場所、出発点になります。駅からのアクセスが非常に良いので、自家用車よりも名鉄の利用をお勧めします。

行程とコースタイム

このコースは名鉄常滑駅から歩き始め、見学を含めて6時間ほどです。距離は6㎞台と短いですが、ショップや飲食店、ミュージアムなどが多いので、それなりに時間を取られます。陶芸体験を行う場合には、さらに時間が必要です。

昼食

やきもの散歩道沿いには数多くの飲食店が道中にあります。細い道を歩きますから、コンビニはありません。取材の日は、やきもの散歩道からは少し外れたところにある、ベジとスパイス om om omという、南インド料理のお店に入りましたが、おすすめです。

トイレ

あちらこちらに公衆トイレがあります。

持ち物と服装

街歩きの服装で大丈夫です。靴はスニーカーを勧めます。

ハイキング適期

年中訪れることができますが、夏の暑い時期は避けるほうが良いでしょう。

近隣の見どころ