タグ: 多和田城跡

多和田城は、滋賀県米原市醒井の北、JR醒井駅から見える低い山の連なりであるかぶと山、別名兜黛山(とうたいさん)の山頂付近にある山城です。かぶと山は多和田の集落を取り囲むように北峰、中峰、南峰からなっていて、各峰とそれぞれの間の鞍部などに遺構が散在しているようです。

下の写真は大宝神社脇にある登山道入り口に掲げられたかぶと山ハイキングコースの案内図です。登山道がぐるりと一周していますが、これがおおむね尾根を通っており、多和田の集落を囲んでいます。

かぶと山ハイキングコースの案内図
かぶと山ハイキングコースの案内図

城としては石垣や石塁が確認できますが、いつの時代に誰が造ったものかは記録に残っていません。壬申の乱において、東国を基盤とする大海人皇子への備えとして天智天皇が多和田城を築いたとする説もあるようです。醒ヶ井の端、丹生川と天の川が合流するあたりは、壬申の乱で大海人皇子軍が大友皇子軍を破った息長横河の合戦の地とされており、かぶと山はその真北で合戦の地を見下ろす位置にあります。

南峰直下にある曲輪と思われる平坦地。社は龍宮社で、この辺りは上の地図で龍宮の森と示されています。この辺りから人為的な地形や石積みなどの構造物が見られます。

南峰直下にある曲輪と思われる場所
南峰直下にある曲輪と思われる場所

南峰頂上の三角点。かぶと山の三角点はこれだけで、標高は284m。最高点は中峰で、ハイキングコースからは外れています。三角点周辺にも山上らしからぬ石が散乱しています。

かぶと山の三角点
かぶと山の三角点

三角点付近は醒井宿の側が急峻な石灰岩の崖になっており、反対側には曲輪と思われる平坦地が造られています。写真ではわかりにくいですが段になっていて、石積みで区切られています。

かぶと山山頂付近の曲輪と思われる場所
かぶと山山頂付近の曲輪と思われる場所

かぶと山の各頂上部には環状列石、いわばストーンサークルが設けられており、醒ヶ井環状列石と通称されているようです。時代は不明とされています。

環状列石群(ストーンサークル)の案内
環状列石群(ストーンサークル)の案内

南峰の環状列石と思われる場所。明らかに人工的に石が積まれていますが、かぶと山に環状列石があるという予備知識がなければ気が付かないかも。

南峰に見られる環状列石
南峰に見られる環状列石

こちらが最大とされる中峰の環状列石群。

峰の環状列石群
中峰の環状列石群

環状列石群が造られた目的としては神籠石(こうごいし)説、朝鮮式山城説、高地性集落説、渡来人集落説、戦国期狼煙砦説などがあるようです。ちなみに神籠石とは、古事記や日本書紀に記載がない、列石だけが確認できる古代の山城のことを指すそうです。醒ヶ井環状列石を醒井神籠石とも呼ぶようです。

ハイキングコースを少しそれたところに神籠石の石碑が立っていますが、何が書いてあるのかわかりません。

神籠石の碑
神籠石の碑