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長比城は中山道の柏原宿の北西側にある野瀬山(391メートル)の山頂付近にある戦国時代の山城。長比と書いて「たけくらべ」と読みます。「たけくらべ」は古くからこの辺り一帯を指す地名だったようです。日本書紀に出て来る玉倉部邑(たまくらべむら)がこのあたりで、「たまくらべ」が転訛して「たけくらべ」になったもので、長比城は壬申の乱にも砦として使われた、という説もあるそうです。

長比城を築いたのは浅井長政で、織田信長と対立した浅井長政が、織田軍の侵攻に備えるため、近江と美濃との国境に近く東山道(のちの中山道)を見下ろす野瀬山の上に築城しました。この辺りは戦国時代に六角氏、京極氏、浅井氏、織田氏などの勢力が拮抗していた地で、いわゆる「境目の城」が山上に多く作られ、長比城もその一つのようです。

浅井長政は家臣の堀秀村と樋口三郎兵衛直房を長比城に配置しましたが、両名は織田方に内通し、長比城は戦うことなくして織田方の手にわたりました。

現在でも野瀬山山頂付近には虎口を伴った土塁が明確に残り、竪堀なども見ることができます。長比城に関してはこのサイトが詳しいです長比城跡のパンフレット(PDF)

近くには須川山砦の跡もありますが、距離が近いですから、戦国時代には長比城と一体として運営されたものではないでしょうか。

野瀬山に登るには柏原宿から中山道をしばらく今須宿方面に歩いた神明神社の鳥居から、左手山の方に入ります。この鳥居の脇には旧東山道の跡が残っていますが、行き止まりです。

柏原 新明神社の鳥居
柏原 新明神社の鳥居

柏原 新明神社
柏原 新明神社

山頂までの登山ルートとしては、地元柏原の野瀬山会によって整備された中尾根ルートと、西尾根ルートがあります。「野瀬山の案内」というパンフレットが、柏原駅から野瀬山に至る途中にある照手姫傘掛け地蔵のところに置いてありますので、ピックアップすると良いでしょう。ただし、このパンフレットにあるのは概略図で、地形図替わりにはなりません。

野瀬山中尾根ルート
野瀬山中尾根ルート

長比城の虎口
長比城の虎口

長比城からの柏原
長比城からの柏原

長比城の竪堀
長比城の竪堀